活動の目的
わが国では、発達障害に対する啓発が十分とはいえず、多くの発達障害の子どもたちとその家族は、さまざまな誤解のもとで社会参加に制限を受け、孤立し不登校やひきこもりの状態になったり、二次的な精神障害を併発するなどのリスクが高いことが指摘されています。一般の子どもたちとペースが合わず、仲間や活動拠点を得ることに失敗してしまったり、家族も苦しみ、孤立感を味わうことも少なくありません。
発達障害の人たちとその家族が当たり前に生活できるためには、同じ感性、同じ悩みを共有し、自分のペースで活動することが自然と受け入れられるような仲間づくりと拠点づくりが必要です。
ネスト・ジャパンは、発達障害の人たちおよびその家族を対象とした、仲間づくりや余暇活動の支援、個別の相談、専門家の人材育成などを行うことを目的として、発達障害およびその関連領域の福祉と教育の向上に努め、社会の利益に増進に寄与することを目的としています。
名前の由来
「ネスト」(nest)は、英語で「動物の巣」
つまり活動拠点という意味です。
「ネスト」にはまた、「入れ子の状態にする」という意味もあります。
「人間は社会的動物である」とアリストテレスがかつて述べたように、私たちはいつも何らかの社会集団に所属しながら活動しています。
たとえば仕事をもつ人は会社、学生はクラスという集団に所属しています。所属する集団は1つだけではありません。
会社やクラスに所属しながら、それ以外に趣味の集まりやクラブ活動などの集団に参加することもあります。
私たちの暮らす社会には、大小さまざまな集団があり、「地域社会」などの大きな集団の中にいくつもの小さな集団が、時には何重にも入れ子のように含まれています。私たちは自分が所属する集団をもち、そこを活動拠点とするとともに、そこに所属する人たちと仲間関係を築きながら自分のアイデンティティを形成していきます。
一方、発達障害の人たちは通常の社会集団の中で少数派になってしまうことが多く、孤立感をもつことがしばしばあります。
発達障害の人たちが意欲的に参加でき、仲間づくりをできるような活動拠点をつくることで、健全なアイデンティティの形成を支援したい、と私たちは考えています。
そのような活動拠点を、地域社会の中に入れ子のように位置づけていきたいと考えています。
ネスト・ジャパンの「ネスト」には、こうした私たちの希望がこめられているのです。